Intermezzo - Cahier

はてなダイアリから参りました(

桜庭一樹 GOSICK VIII下巻‐ゴシック・神々の黄昏‐ (角川文庫)=シリーズ完結

発売日に密林さんから届いたので、気づいたのは23時過ぎでしたが、一気に読みました。素晴らしい最終巻でした。
ネタバレを含む感想は下に隠して記載しますので、読んでもOKの方のみ、開いてお読みください。

時系列は1925年10月頃から1934年春まで。
VIII上巻からそうでしたが、アニメとは結構細部が異なりました。
コルデリア・ギャロVSアルベール・ド・ブロワの詳細が描かれます。「ステイルメイト!」とは云うものの、ヴィクトリカを逃亡させた利はあるものの、生死と云う意味ではコルデリアとブライアンその1だけが死亡するカタチ。
アルベールは生き残りますが、頭脳たるヴィクトリカ不在から失脚。国王の気持ちは科学アカデミーに傾き、ソヴュールは専守で戦ったものと思われます。ただし、ジュピター・ロジェはなんと登場しません。灰色狼なのに。彼だけはアニメのほうが活躍した印象です。アニメ版では活用された形見箱の伏線もあったため、これはちょっと惜しいなぁと思いました。
グレヴィールはどっちもどっちという感じですが、妹への想いがきめ細かく描けた原作のほうがやっぱり良いかな。ドリルはヴィクトリカの恩赦により解かれますw
「二度目の嵐」は「新世界(アメリカ)対旧世界(ヨーロッパ)」であり、亜細亜や「東洋の島国」も旧世界側になります。イギリスもフランスも旧世界側のようでした。すべての戦禍はSFチックに武装されたアメリカによるものっぽく、桜庭さんアメリカ嫌いかな。趣味が合いますね。1929年2月、新世界(アメリカ)の勝利で戦争が終わります。
アンブローズがなんとパリに登場、旧世界の終焉を見届けるような不思議な役割を担います。
灰色狼をはじめとする「古き生き物」は旧世界を離れると生きてはいけないというなかなかオカルティックな設定。これにより、ブライアンその2は「東洋の島国」ゆきの船上で死亡、ヴィクトリカの髪も数日で金髪から銀髪へと変貌(アニメでは理由の明示がなかった)を遂げ、その事でアルベールの追手をかわせはするものの、日本と云うか「東洋の島国」にたどり着くまでの間、仮死状態になっちゃいます。「東洋の島国」着後も身売りされそうになるものの、自身にいれた刺青(久城家住所)と久城にもらったペンダントのおかげで、難を逃れ、久城家*1に駆け込む。
同じ頃、久城(この漢字の苗字はなかなかレアなんですよね)一弥は戦地を行軍しており、ヴィクトリカの生霊のような銀色の蝶を見、またヴィクトリカからもらったコルデリアの指輪のおかげで九死に一生をえる。
戦後、「東洋の島国」に帰国した久城とヴィクトリカは無事再会し、15個目の謎を二人で解き明かす。愛ですね、愛っ/////
エピローグ。二人は夫婦となり、新世界アメリカのニューヨークへ渡り、ヴィクトリカニート探偵w(久城は別の仕事があるようだが助手もやっている)になって退屈をしのいでいる。
各所に散りばめられた"Au revoir"の科白が素晴らしい。フランス語で「さようなら(また会いましょう)」、もう二度と会えないかもしれない"Adieu"ではなく。*2
素晴らしい最終巻、感動の大団円、幸せな読後感を味わえた素敵なシリーズでした。

*1:戦禍を被って、家族はどこかに避難していたと思われるが、詳細は描かれていない

*2:ただし、p144の"Au revoir, mon chéri!"はコルデリアに対してなので、"Au revoir, ma chérie!"であるべきでしょう。×男性形→○女性形