地元では私の認知している限り約9年ぶりに、県外のペンドクターさんをお招きしたペンクリニックがありましたので、昨日、今日と行ってまいりました。*1
丸善に輸入文房具などを卸しているサンライズ貿易のペンドクター、宍倉潔子さん。私は寡聞にしてお名前を存じ上げなかったのですが、最近セーラーを退社されたペンドクターの川口さんのお弟子さんとの事。お作法は、素人である私の記憶の限りなので怪しいけれど、やはり川口さんに似ていらっしゃいます。
調整していただいたのは、下記4本。お願いできるのが1回1人2本までなので、2日にわたってお願いしました。
- MONTBLANC No.146(2000年頃のもの) M
- Parker SONNET(1994年10〜12月製作の初代モデル) XF
- Pelikan M400 茶軸(復刻版ではなく、通常版。2002年頃のもの) M
- LAMY 2000(2004年頃京都で購入) M
当区の困ったちゃんたち、ぐずぐず四天王でした。長いもので18年、短いものでも8年のおつきあいですが、どれも、「購入直後から調子が悪く、使っては気に入らずお蔵入りを繰り返し、また最近1年くらい使い続けるも改善の予兆すらなし」と云った筋金入り。良くなるものか、あまり期待はしていませんでした。
1日目に、書き出しがかすれる病で特に困っていたモンブラン#146と、書けないわけではないのだけれど、「書けないわけではないのだけれど、いいところを挙げよと云われると答えに窮してしまう（デザインとかは勿論好きなのですが……）」くらいだったパーカーソネットをお願いしました。モンブランに関しては、センシティヴなメーカー(笑)でもあり、あたりさわりのない限りの調整をしていただきましたが、かなり良くなりました。次いで、ソネット。こちらは随分時間をかけて調整していただきました。残りわずかだったインクを洗い流していただき、サービスインクでPelikan BlueBlackを入れていただいちゃいましたが、これが劇的に改善。極細(XF)なのにすらすら〜と書ける、理想の書き心地に！ これは感動しました。
ソネットの改善が嬉しくって、厚かましくも2日目も続いてお願いに行く事に。モンブラン#146と似たような症状の2本でしたが、「こういう製作時のイリジウムの研ぎの問題は、頑張って書いていてもなかなか改善されない」と云われ、私の約10年は何だったのと思ったり。特にPelikanは旧来型の角研ぎで*2、もちろんそれはいい意味での個性でもあるのだけれど、やはり調整が必要な場合も多いみたいで、少しだけしつこく研いでもらって、たいへん良くなりました。LAMY 2000も、ペン先がフーデッドなので調整はかなり難しそうでしたが、こちらもかなり改善。
ありがたやありがたや……。
＃試し書きをしているなかで、私の書き癖が、普通の右利きの人とは逆の捻り方（普通の人はペン先表面のデザインが自分にわかるように左側に傾けるが、私は特に意味もなくペン芯側がこちらに見えるように右側に傾ける。書いているうちにずるずる右側に傾く感じ）だとわかって、ちょっとびっくり。そちら側のイリジウムの角が紙に当たってしまうと当然かすれの原因になるので、自分の書き癖も修正しないといけないかも。買う機会がもしあればだけれど、レフトオブリーク*3を選ぶのもいいかもしれない（笑
宍倉さんは、"pen lounge Ir Sunrise"と云う最近大阪心斎橋にできたお店に、川口さんの後任として赴任される（なんと明日から！）との事。川口さんが赴任される際の告知では「販売品の調整のみ担当」と記載されていたように思われますが、来店者の持込みにも対応して下さるそうです。
調整については、「使ってくださる人に使ってもらえるのが万年筆にとっても素晴らしい事。調整はできて80％のコンディション設定まで。引き続き使って100％の自分のモノにして下さい」とおっしゃって下さいました。
最後の出張ペンクリニック先が、我が地元のような辺鄙なところで良かったのだろうか(^^;)と思いつつ、ありがとうございました。
