Intermezzo - Cahier

はてなダイアリから参りました(

ヤマグチノボル 描きかけのラブレター (富士見ミステリー文庫)

id:u-glena さんのBookmarkで紹介されていたので読んでみました。
なぜミステリー文庫なのかよくわからない、純粋ストレート、直球勝負っぽい恋愛小説です。20世紀(昭和)っぽくもあるけれど、2002〜2004年にかけて書かれた作品。もどかしい感じにクネクネしちゃうような、作者・編集の意図通り、胸キュンな内容になってます。あ、女の子の心理が男にとってミステリって事かな。興味深い。
ちなみに富士見ミステリー文庫桜庭一樹の『GOSICK*1を一番最初に発刊したレーベルですが、営業不振の影響などもあってか(?)すでに店じまいして、多くの作品が絶版になっています。現在における富士見ミステリー文庫の立ち位置が角川側にあるのか富士見側にあるのか(2005年以降、富士見書房角川書店の子会社ですが)よくわかりません。Amazonの出品者から購入。
ヒロイン円はリアルなツンデレといった感じで、ラノベの登場人物的な、ラブコメの甘っちょろいツンデレとは一線を画しております。誰しも経験があるんじゃないでしょうか、中高時代あたりで同級生にいたリアルツンデレ。構われたらすっごい迷惑な感じの。実際、高校時代の主人公は円にいじめられまくっていて、高校時代はすごく短く描かれているのですが、物足りなさと同時に、やりきれなさを覚えてしまうような描写でした。
だからと云うわけではないかもしれませんが、個人的には円より美智子のほうが好きです。
日立市を舞台にした「日立三部作」の第一編と云うような位置づけのようです。第二編は『遠く6マイルの彼女』、第三編は未発表。描かれた日立市の情景は、私にとっての糸魚川市に近いものがあって、郷愁を誘います。
ゼロの使い魔』で著名なヤマグチノボルさんは、今年に入って末期癌が見つかったものの、抗癌剤による治療によって手術可能なまでに快復され、これから手術をされると云う、闘病中の身でいらっしゃいます。『ゼロの使い魔*2も現在20巻まで出ていて未完で、商業主義的な意味でなく、そちらも日立三部作も、完結したものを読みたいと思います。手術に成功されることをお祈りしています。

*1:現在は角川文庫から出版されています

*2:申し訳ないのだけれど、私は読んでないのですが