Intermezzo - Cahier

はてなダイアリから参りました(

『"文学少女"と月花を孕く水妖』野村美月

シリーズ6作目。
※微妙な内容ですので、お好きな人はご勘弁を。
泉鏡花は好きなので、ある程度期待していたのだけれど。
『"文学少女"と飢え渇く幽霊』の際にも思ったのだけど、どうも麻貴先輩がイマイチ。心葉くん的には圧倒される先輩、超常的な先輩なのだけれど、そうでもなく感じる。
白雪の約束や秘密に対して、「バカバカしい」「些末」「その程度」と語るところなどはまったく想定内で面白みや深みがない。一応、その後で遠子先輩の自説があって、話としては成立しているのだけれど、なんだかくすぶった印象でした。
時系列としては2巻の後になり、本編としては最終となる7巻のプロローグも兼ねるようです。心葉くんと遠子先輩の一夏の物語としてはなかなかだけれど、物語の一端を担う麻貴先輩に魅力がほとんどないところがとにかくがっかり。その所為だと思うのだけれど、魚谷さんも活かせてない。エピローグで心葉くんにもじもじするところなど、蛇足でしょう。
エピローグの池の男女は麻貴先輩と流人くんなのだろうけれど、陳腐ですらある。
ラストに向けて、ちょっと中だるみなんじゃないかと思いました。
しかしながら、これまで少し語られていなかった心葉くんと遠子先輩の物語を収束へ向かわせるプロローグとして、甘く切ない感じが良かったのかなと。うだうだ云うのもシリーズを好きになってしまったればこそで、最終話に期待して次巻へ向かいます。

“文学少女”と月花を孕く水妖 (ファミ通文庫)

“文学少女”と月花を孕く水妖 (ファミ通文庫)