Intermezzo - Cahier

はてなダイアリから参りました(

『"文学少女"と神に臨む作家 上』野村美月

シリーズ7作目上巻。仕事が忙しくて、昼休みくらいしか読めなかったのだけれど、今晩お風呂で一気読み。読了。
5巻6巻もその日に読み終わっていたのだけど、なかなか書けなかったのを整理しました。
※以下若干のネタバレを含みつつ。
エクリチュールは、裏切りである。
なんて、10年ちょっと前には云っていた。まじか。生まれてすみません。
食べ物の味がわからない遠子先輩が一生懸命作ってくれた、砂糖と塩を間違えて作ってしまった甘じょっぱいシュークリームを完食する心葉くん萌え。
目をうるませる遠子先輩。だけどそれは、自分が意地悪や面白半分で書いた奇天烈な話を完食し続けた遠子先輩の気持ちを思っての事。
p.172とかの芥川くんとの友情もいいなぁ。さわやかで。
琴吹さんが、心葉くんに貰った500円玉と10円玉を大事にとっておいたと云う、なんと云うハートウォーミングな、と云うか以下略。死ぬ(何
琴吹さんに渡しそびれていた夏のおみやげを見て、遠子先輩と過ごした夢のような――物語のような夏を思い出す。そうつなげますか。
p.224〜、バレンタインに、心葉くんがチョコレートより好きだと云っていた羊羹を義理だと云って渡す遠子先輩。萌え殺す気ですか。と云うか、死んだ。ぎゃふん。
自覚はあるものの、相変わらず、片目を、そして両目を瞑る心葉くん。

かすかな痛みが、胸を刺した。
心を鈍感にして、感じないようにしているんだ。
p.234

p.246〜249
読者は作家を裏切り、作家もまた読者を裏切る。
何故なら、言葉は書いた途端に嘘になるから。
でも作家は書いてしまう。佐々木さんが云ってたように、ある種の業だから。そして、何かを夢見ているから。
ちなみに読者が作家を裏切ると云うのは、ちょっと違うんじゃないかなと思う。奇天烈な話を完食し続けてくれる、作家にとって神さまのような遠子先輩は、それこそファンタジィのなかの住人なのである。
しかしながら、心葉くんと遠子先輩の物語、完結が楽しみだな。と云うわけで、下巻へ行ってきます。