Intermezzo - Cahier

はてなダイアリから参りました(

『看板屋の恋 (文學界2000-12)』都築隆広

昨日図書館で文學界のバックナンバーをあれこれ借りてきました。
#県民歴は長いですが、本を借りた事はなく、県立図書館カードを初めて作りましたw
バックナンバーを探して入手するよりは、借りたほうが早いと云う計算ですが。
さて、『看板屋の恋』ですが、書き出しに少し物足りなさを感じましたが、物書きと看板屋が入れ替わったあたりからリズムが変わり、語りすぎず、語らなさすぎでもなく、深みが出てきました。大家の娘には最後まで名前すら与えられませんが、初めの軽薄な感じから、だんだんとミステリアスな、云っちゃえば男性の描く女性像なのですが、しかしながら魅力的な少女像が浮かび上がってきていました。
全般的にはジョイの心理描写とか、やや描き足りない感もあるのですが、書けば書いたで書きすぎになってしまうような気もしますので、これでいいのかな。
審査員たちの評価は(候補作全体に対して、ですが)総じて低かったようですが、山田詠美のメッセージ「惜しいところがある。足りないところは自分で考えて。審査員は受賞後の事には責任持たない」が簡潔で笑えました。