Intermezzo - Cahier

はてなダイアリから参りました(

『“文学少女”見習いの、卒業。』野村美月

シリーズ13作目? でしょうか。
野村先生の願いとは裏腹に、挿話集3を途中でパスして(竹田さん関係だけ読んだり)先に読んでしまいましたw
#2010年9月ころには購入していましたが、今日まで密林ダンボー開封すらしてませんでした><
※ネタバレを含むため、隠し記法にて。

「忍成先生は、ボーイズラブのようであり……、ロリコンのようであり、シスコンでした……」
p.119

噴いたw
しかしながらこの科白が『“文学少女”見習いの、寂寞。』の要約でもあったり。話のつくりはいいのですが、そのために事前に死んでる人が多すぎるきらいがある、って云うと、シリーズ全体の感想にもなるかもしれませんね。
題材は『こころ』と『桜の園』。『こころ』の寂寞感と、『桜の園』の淋しいだけではない明るい結末感がどちらもうまく使われていて、いい感じです。チェーホフは本棚のどこかにあると思うので、また読みかえしたいな。
作者の野村先生は菜乃の事を評して「おひさまのような」と書いているのですが、ほんとうに見ていて朗らかな気持ちになる、素敵に輝くヒロインでした。こういうタイプの女の子を最高に魅力的に書ける作者の筆力に脱帽です。
忍成先生の絶望感だとか、竹を割ったようなわかりやすさだけではないほろ苦さもよいですね。
心葉くんが遠子先輩のために書いた作品の次に、菜乃のための作品を書いたというのも、象徴的な感じです。一方で処女作については実はあまり面白くないのではないかという疑念も。まぁ、「売れる・売れない」と「面白い・つまらない」は別問題でしょうけれど。触りだけですが、3作とも心葉くんは誰かのために(身近な誰かを題材にして)作品を書くと云う、日本ではちょっと珍しい感じの作家ですね。
サン=テグジュペリが『星の王子さま』を占領下のフランスに残った親友のレオン・ウェルトに宛てたのとはまた違うのでしょうけれど。しかし、題材がなんであれ、自分が書くとしたら、誰かに宛てたものになる気がします。と云うか、昔はそうしていたような。もう忘れましたが。
他にも色々ある気もしますが、そんなところで。挿話集3もすぐ読みきるショゾンです。

“文学少女”見習いの、卒業。 (ファミ通文庫)

“文学少女”見習いの、卒業。 (ファミ通文庫)