Intermezzo - Cahier

はてなダイアリから参りました(

フィリピン1日目

しばらく海外へ行っていなかった。
具体的には、2008年に発作的にシンガポールへ行ったきり、そろそろ4年が経とうとしていた。
ミャンマーや南東欧など、どこかに行こうかと云う話はぽつぽつ出てくるのだけれど、ヴィザ取得が必要だったり、政情が不安定であったり、物理的な距離が非常に遠かったりと、あまりハードルが高いとなかなか実行にはうつせないもの。
そんな折、2011年の夏の終わりに、新津のキハ52計7両とキハ59・29「こがね」がフィリピンへと旅立った。フィリピンへは12系客車などが譲渡された実績があるが、気動車の譲渡はこれが初めて。余談だが、同じタイミングで203系電車も40両譲渡されている。そしてインターネット上で、キハ52が営業運転を始めたと云う情報をみつけ、ROKUさん、YAKUMOさんと「行こう!」と即断する流れとなり、お二人最寄の関空からフィリピンへ飛んだ。EU乗入禁止のPAL便だったが、もちろん毎日フィリピンと周辺諸国を無事横断しているわけで、今回も何事もなく安全運行された。
即断した経緯は下記のとおり。
これまで、ロシア(サハリン)、タイ、ミャンマーへ日本の気動車が海外譲渡されてきたが、ほとんどの場合は現地での代替部品の入手が困難であり、車両を保守できず、使い捨てにされてきているのを、未訪問のミャンマー以外の各国でひしひしと感じた。実地で走っている車両に乗るなら「善は急げ」となるわけである。
実際、1996年にサハリン、2001年にタイでキハ58に乗車してきたが、それらの車両は間もなく営業列車から外れており、現在は乗車不可能である。ミャンマーへは断続的に多くの車両が譲渡されているため、現在でも盛岡のキハ52やキハ58をはじめとするさまざまな気動車に乗車する事が可能(外国人立入禁止のエリアでも運用されているようで、そちらの乗車は非常に困難であろう)であるが、初期に譲渡されたJR西日本のキハ58はすべて不動車になっているようだ。
しかしながら、今回は少し勇み足であったようで、キハ52は日々の定期運用には就いておらず、韓国製のDMUと呼ばれる気動車がフル稼働していた。結果から云うと、フィリピンでキハ52に乗ると云う、本願は果たせずに終わってしまった。
ただ、マニラ近郊の路線に乗る事で、30年ほど前から衰退の一途を辿っていたフィリピン国鉄が日本や韓国の援助を得て復興を目指している様子を見る事ができたので、それを下に記す事とする。
フィリピン国鉄は現在、南方線のTutuban(マニラ)〜Ligao間の445.4kmで営業運転されている。しかしながら、我々は日程の都合もあり、定期気動車が運行されているTutuban〜Alabang(モンテンルパ市)間の28.1km(メトロコミューター区間)のみ見る事ができた。
早朝始発のCX101〜102のみキハ52が使用されている記述をインターネット上で見かけたが、国鉄職員の話を聞く限りその事実を知らなかった事から、おそらくその実績は多くなく、DMU故障時の緊急措置程度だと思われる。
国鉄職員によると、多客期のNagaゆき夜行列車に何回か使用されたとの事で、インターネット上のFacebook内で公開されているフィリピン国鉄(PNR)公式ページにおける情報と合致した。なお、FacebookのPNR公式ページではメトロコミューター区間の時刻表(PNRでは伝統的に時刻表と云うものが存在していなかったようで、この時刻表の存在じたいがPNRの本気度を表していると云えよう)や運賃表、キハ52やこがねの写真も閲覧できる。
次に編成実績を記す。列車番号は時刻表に準ずる。
乗車の際に購入する乗車券にも、列車番号の数字のみが記載される。

2012/01/13
CX139:DMR-04+ITR-02+DMR-03(乗)
CX140:DMR-03+ITR-02+DMR-04
CX141:DMR-02+ITR-01+DMR-01
CX142:DMR-01+ITR-01+DMR-02(乗)

DMUのエンジンはカミンズっぽい(正解だったもよう)サウンドで、馴染み深く感じる。
末端区間からそこそこの乗客がいるが、特にマニラの繁華街に近いEspanaから、マニラ南方近郊の交通の要衝であるBicutan間の混雑は著しい。最初の乗車時は夕ラッシュ時だからかと思ったが、ほぼすべての列車が混雑しており、時折積み残しも発生していた。

子供たちによる列車への投石には何度も遭遇した。感覚的には夕方以降の列車で多い気がしたが、乗車したすべての列車に投石があったと云ってよい。また、レール上に置き石をする子供もいた。先人のフィリピンの鉄道乗車記などを読むと、大人もストレス解消(!?)のためか投石するらしい事が書かれているが、今回の乗車中にはそれらしき行為は見られなかった。先述の置石の際も、気づいた大人が石を蹴り除いていた。

1日目はTutuban〜Alabangを往復、Alabangでは2列車を撮影した。Tutubanからトライシクルと、路面電車ではなく高架鉄道であるLRTを乗り継いで、ホテルに戻る。
4頭身のドキンちゃんのようなマスコットキャラクターが出迎えてくれる国民的ファストフードであるジョリビーで夕食を摂り(日本のファストフードと同じで、看板写真に偽りあるちょっとしょんぼりな感じであったが、が、100円しないくらいなのでよしとする)、万国共通ながらもお国柄が伺えるセブンイレブンと、ホテル近くにある事に気づいた小さなスーパーマーケットで飲料を確保した。日本と同じく、気持ちスーパーのほうが安いが、日本ほど両者の差はないように思われた。水、トロピカルドリンク、ビールなど。どれもこれも100円しない(20ペソ=40円弱、ビールも35ペソ=70円弱)のであれこれ買ってしまう。ヘルシー志向なのか、やたらと豆乳飲料がフィーチャーされていたのが気になった。
フィリピンの代表的なビールであるサンミゲルは、なかなかおいしかった。