読了。最初読むのがちょっとつらくて、『私の男』と前後してしまった。
- 作者: 桜庭一樹
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2010/09/18
- メディア: 文庫
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第一部がやたらと重い感じです。内容と云うか、文体とか筆が重いと云うところ。読み手にも伝染する重さ。
第二部・第三部は、現代に近づいたり、毛毬・瞳子という若い女性が主人公になるせいか、筆も軽くなっている印象をうけました。悪い言い方かもしれませんが、ライトノベルに近いw
ところどころ入る史実・社会背景などは物語世界からちょっと浮いていて、しかも深い表現になっているわけではないので、ちょっと不要なんじゃないかなぁとも思います。
ガルシア=マルケス『百年の孤独』の影響を指摘する人が多いようなのですが、そこまではどうかなというのが個人的な感想です。
科白まわしが好きなところを引用。
「鞄、青春がいつ終わるか、わたしわかったヨ」
「いつのなよ」
「……取り返しのつかない別れがあったときさ」
p.246
「世間の人は悪いことばかり言いよる。高校に入ってからおかしくなったけど、むかしはええ子だったのに。もともとあくどいやつだったように言いよるなぁ」
「言わせておけばいいさ。おじさん、わたしたちがあの子を好きだったら、それでいい。人の噂は七十五日だ。だけど、好きは、永遠なのサ」
p.266
ようこそ。ようこそ。ビューティフルワールドへ。悩み多きこのせかいへ。わたしたちはいっしょに、これからもずっと生きていくのだ。せかいは、そう、すこしでも美しくなければ。
p.444