Intermezzo - Cahier

はてなダイアリから参りました(

恩師が亡くなりました……○| ̄|_

訃報:平岡篤頼さん76歳=フランス文学者・文芸評論家(毎日新聞
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/fu/news/20050518k0000e060063000c.html

フランス文学者で文芸評論家、作家としても知られた早稲田大名誉教授、平岡篤頼(ひらおか・とくよし)さんが18日午前2時50分、虚血性心疾患のため死去した。76歳だった。葬儀は22日午前10時、東京都品川区西五反田5の32の20の桐ケ谷斎場。自宅は非公表。喪主は妻不二子(ふじこ)さん。
 大阪府出身。近・現代の仏文学が専門で、バルザックロブ=グリエ、サロートなど、多くの翻訳がある。クロード・シモン「フランドルへの道」の翻訳でクローデル賞を受賞。現代日本文学の批評家としても活躍し、評論集に「変容と試行」「迷路の小説論」がある。また、小説に「消えた煙突」「薔薇(ばら)を喰(く)う」などがあり、芥川賞候補にもなった。
 1970年代半ばの「フォニー論争」では、丸谷才一さんや辻邦生さんの小説の「本当らしさ」や「リアリティー」をめぐって江藤淳と激しく応酬した。
 早大に小説家などを養成する文芸専修コースを創設するのにかかわり、小川洋子さんや角田光代さんら多くの作家を育てた。また、私財を投じて「早稲田文学」の刊行に尽力。書道研究「書莚(しょえん)会」会長も務めていた。
 18日未明、東京・新宿で教え子の作家たちと飲食中に倒れた。

大学時代の,殆ど唯一無二と云っていい恩師です.
早すぎる死です.功績は上記に留まらず,計り知れないものがあります.
現役教授時代は,私らのような,学部生のどうでもいいのに対しても,惜しむ事なく専門分野の楽しさを伝えて下さいました.
また,咽喉癌でなかば声を失いかけながらも,「煙草をやめるくらいなら死んだほうがいい」と仰っていた姿も印象的です.この話のみならず,与太話のお好きな先生で,講義中も研究室でも,楽しいお話を伺ったものです.中島梓(栗本"御大"薫)氏が現役大学生だった頃,漫画『ガキデカ』だったかを先生に勧め,「わけわかんないけど,面白かったね.ああいうのがわかるってのは,すごいね(中島梓氏を褒めている.らしいw)」と仰ったりとか.
もう,当然のように,私の卒論の主査になっていただいたのですが,最後に一言,「きみは小説を書く人だろう.そっちのほうが向いているね」と.それでも「優」を下さったのも素敵です.
まぁ,下手な論文に対する婉曲表現なわけですが,仰るとおりで,当時から,学者なんぞ蚊トンボのように思っており,分野は違えど野に下り,現在に至っています.小説はすっかり書かなくなってしまったけれど,改めて,この憂世にいる間になにか物にしなくては,と云う気持ちを思い出したり.
私も卒業後,それはほぼ先生の退官後でもあり,ほとんど連絡を取ることなく,憂世のお別れとなってしまったことを,非常に悲しく思います.
ご冥福をお祈りするとともに,あの世か来世で,また莫迦話が出来ることを痛切に祈念しながら,手向けの言葉とさせて頂きます.